シャクヤク

植物資料集（索引）

最終更新

2007-03-04T00:00:00+09:00

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• サ行
  • シから始まる植物

シャクヤクの情報

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その他外観に関すること

• 葉は互生し、下部の葉は2回3出複葉、上部の葉は3出葉。小葉は狭卵形、披針形、または長楕円形。無毛でやや厚く光沢がある。
• 根は紡錘状。肥厚し、茎は直立叢生。
• 花後に袋果を3〜5結び、各果に数個、球形の種子を内蔵する。

知識

• 中国、シベリア、朝鮮原産の多年草。中国では紀元前にすでに薬草として栽培され、その後は主に観賞用に栽培されていた。宋の時代には品種改良が進み、園芸的に流行したとのこと。中国のシャクヤクを初めてヨーロッパに伝えたのはE.Kaempferで、1712年に日本名の「Saku Yaku」を中国産のシャクヤクにつけて紹介したとのこと。その後ヨーロッパではイギリスとフランスで盛んに品種改良が行われ、アメリカでは他のボタン属の植物との種間交配により改良が進められた。
• 日本には奈良時代に渡来。当初は薬草として栽培され、その後観賞用として盛んに改良されてきた。日本での最初の記録は、850年頃の「諸国俚人誌」であり、「小野小町が出羽国小町村に99株植えた」とされる。また、「延喜式」や「本朝無題詩」にも記載されているが、現在でいうシャクヤクであったかどうかは定かではない。現在のシャクヤクとして確実な記載は1445年の「仙伝抄」が最初との説が有力。その後は多くの書に記載され、「花壇綱目」には32品種、「花譜」には100品種以上あるとされている。日本にはヤマシャクヤク（P. japonica (Makino) Miyabe et Takeda）とベニバナヤマシャクヤク（P. obovata Maxim.）が自生していたが、これらが観賞用として栽培されたことはほとんどなく、中国から伝えられた種類が江戸時代に大いに栽培され、品種改良も行われた。明治時代以後には神奈川県立農事試験場で品種改良が組織的に行われ、昭和初期には新品種700品種が発表された。
• かつてボタン属はキンポウゲ科に分類されていたが、現在は本属のみからなるボタン科（Paeoniaceae）が設立されている。
• ボタンとシャクヤクは花を見ただけでは区別が難しいとされるが、判別には株元を見るとよい。ボタンは木（灌木）で、シャクヤクは草（多年草）、シャクヤクは冬に地上部が枯れるが、ボタンは木質の地上茎が残る。ボタンが咲き終り少し経つとシャクヤクが咲き始め、ボタンよりシャクヤクの方が若干小柄。
• 根は漢薬「芍薬（シャクヤク）」として鎮痛作用をはじめ、抗炎症作用、平滑筋弛緩作用などの効能があるとされる。秋にシャクヤクの根からひげ根と周皮を除いて乾燥させたもの。成分としてペオニフロリン【paeoniflorin】を始めとするモノテルペン配糖体を含むほか、タンニンにも富む。芍薬は古方派の漢方医学では特に区別をしないが、中国で近年隆盛な中医学では、調製法によって「白芍」と「赤芍」に大別し、それぞれ異なった性味や効能を有する薬物として区別されている。白芍はシャクヤクの根の外皮を除去して乾燥させたものを指す。更に、皮を除いた後に湯通しして乾燥させたものを「真芍」と呼ぶ。現在日本市場に流通している芍薬は白芍が多い。また、赤芍はシャクヤクの根を皮付きのまま乾燥させたものを指す。
• 原産地からも分るように耐寒性は強いが高温多湿に弱いため、半日陰ぎみの風通しの良い涼しい所に植えるとよい。
• 花形の変化はボタンよりも多彩で、一重、八重、半八重、万重などがあり、その形も「金しべ咲き」、「おきな咲き」など様々（詳しくは下記）。

花型の分類

一重咲き

花弁の数は8〜18個。めしべを囲んで数多くの完全なおしべがある。花径は大きいものが多い。

金しべ咲き

花弁は一重と同様。葯と花糸が太い。葯は自然に花粉を出さず、黄色く派手。肥後シャクヤクがこの型に分類される。

翁咲き

花弁は一重と同様。おしべの弁化がさらに進み、葯と花糸の区別がなく、細い弁が花の中心部に集まる。これは内弁と呼ばれ本来の花弁と区別される。一般的に内弁の色は花弁より淡い。花径は比較的小さいものが多い。

冠咲き

翁咲きのおしべの弁化が更に進み、内弁が大きくなったもの。中心部が大きく立ちあがるようになる。

てまり咲き

冠咲きよりもさらにおしべの弁化が進み、内弁のほとんとが幅広く立ちあがる。そのため花の丈が高く、おしべの痕跡はない。内弁と花弁の区別は明か。花全体が豪華な感じとなる。

半バラ咲き

内弁が発達し花弁との区別がない。本来の花弁は小さい。花の中心部と中段に完全なおしべがあり、完全な花が2つ重なったように見える。

バラ咲き

半バラ咲きのおしべがまったくないもの。

半八重咲き

花の外側から内側に向かって少しずつ花弁が小さくなる。花弁と内弁の区別は全くない。花の中央部に完全なおしべがあるが数は少ない。花はやや扁平で中央部は盛り上がらない。

花言葉

• 内気
• はにかみ
• 慎ましやか
• 恥じらい
• 清浄

シャクヤク（ピンク）の花言葉

• 生まれながらの素質