ピタゴラス【Pythagoras】

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ピタゴラス(BC582年頃〜BC497年頃)

最終更新
2007-10-14T12:57:57+09:00
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ピタゴラス学派の創始者(ピュタゴラス、ピュータゴラースとも)で、ピタゴラスの定理等で知られる古代ギリシャの数学者であり哲学者。ミレトスに近いエーゲ海のサモス島(現イタリア)の生まれ。タレスの下で学び、エジプトに留学した後に南イタリアに移住(その間にバビロニアやインドイギリスを訪れたとの説もある)。輪廻転生を信じるディオスオルペウス教に影響を受けて、特異な宗教集団(ピタゴラス教団)を設立した。数の秩序に注目をし、数学的思考で自然の原理を理解しようとした人物として知られ、三平方の定理、無理数の定義、正五角形の作図など、数学者としての発見も多い。プラトンにも大きな影響を与えたとされ、「サモスの賢人」や「クロトンの哲学者」とも呼ばれた。

ピタゴラスは、ピタゴラス教団と呼ばれる宗教集団の創始者でその目標は魂の浄化にあり、そのための道をどう考えるかという点にピタゴラスの思想の独自性が見られる。ピタゴラスはこの浄化作用を「カタルシス」と呼んだ。教義によれば、万物はもろもろの数とそれらの間にある比例関係をモデルにして成り立つとされ、これらの思想の殆どは現在で言う数学のものである。例えば、月の満ち欠けや星の運行には一定の規則があり、音階のもつ秩序や調和も規則性を持っている。これらは数学的な比例関係に基いて説明できるため、万物は数相互の様々な関係によって生み出されているのだとピタゴラスは主張をしたのである。つまり、数はそれが万物の本性を規定しているという意味でアルケーにあたり、数の理論がそのままあらゆる技術や考え方に直結するとピタゴラスは考えたのである。

「1」は点で全ての起点となり、「2」は線分で1次元を、「3」は面で2次元(三角形)を、「4」は立体で3次元(三角錐)を生み出すとのように、数の進行がそのまま事物の生成過程にもなっている。更に、行動や原因、結果は物理的な現象であり、これらは数を用いて観測されて測量され、記録される。つまり、数は行動や原因、結果といった物理的な現象にも逆に影響を及ぼすことができると考えたのだ。ただし、これらの調和関係は人間や人間の実験によって作られるものでもなく、ただ発見され理解されるのを待ちながら永遠的で固有なものとして宇宙に存在するものであるとしている。

天体は調和と法則に基いて行動し、宇宙は「星の音楽」と言うべき音楽を奏でている。この音楽は人間を含めた地上の事物と共鳴するため、天体の奏でる音楽を読み解けば人間への影響も読み解けると考えた。こうしてピタゴラス教団では、数学と音楽と天文学がとりわけ重要なものとされた。数の神秘主義とも呼べるこうした独特の教義を掲げたピタゴラスは、魂の浄化という目標は世界全体の秩序調和を見出し、禁欲的な生活によってそれに同化することで可能となると考えた。

ピタゴラス学派

ピタゴラスとその弟子達は「ピタゴラス学派」と呼ばれている。紀元前530年頃にギリシャ都市クロトン(現イタリア南部)で設立。全ての学派員には平等と節約が説かれ、男女が平等に扱われ財産を共有し、音楽・数学・天文学に関する秘儀的なカリキュラムが設けられた世界最古の教育機関とされる。ここでは禁欲生活など様々な戒律が義務付けられ、例えば魂の不滅と輪廻転生の考えより無益な殺生が禁止されて食事にも制限が加えられ、太陽を冒涜する行為も禁止された。ピタゴラス学派では、弟子達は学んだことを口外することは固く禁じられ、また弟子の発見したことは全て師であるピタゴラスの発見にされたという。このため、ピタゴラスの発見といわれているものはどれがピタゴラス自身の発見であるのか判っていない。有名なピタゴラスの定理も実はピタゴラス本人によるものではなく、この学派によるものとされる。ちなみにこの学派は五芒星をシンボルマークとしていた。ピタゴラス学派が盛んになるにつれて学派員達は都市国家クロトンの政治にも口を出すようになったため、反対派の反感が強まりピタゴラス学派は焼き打ちされたといわれる。

三平方の定理

∠Cが直角である三角形ABCにおいて、BC=a、AC=b、AB=cとすると、c2=a2+b2が成り立つとの定理。ピタゴラスの定理とも言われる。

ピタゴラス音階

振動数の比率が2:3である純正5度音程を積み重ねていくもので、純正5度を6回積み重ねると7音からなる全音階が得られ、11回積み重ねると12音からなる半音階が得られるとのもの。古代支那で生まれた三分損益法による音律と基本的に同じものだが、どちらがより古いのかは定かではない。

ピタゴラスの数秘術

ピタゴラスは、アルケーは数であると考えた。例えば、理性が1で、女は2で男は3、4は正義や真理、5が結婚、6は恋愛と霊魂、7は幸福、8は本質と愛、10は神聖な数といったように。

奇数と偶数の区別

自然数を奇数と偶数に分類したのはピタゴラスが最初だとされる。

完全数

完全数とは、自分自身を除く約数の和に等しい自然数を表す(例:6=1+2+3)。

無理数の発見

一辺の長さを1とする正方形の対角線の長さ(√2)を、分子と分母が共に整数である分数で表すことができないことを発見。ただしピタゴラス本人は、線分は極小の点の有限個の集合であると考えたため、更には学派の根本理論である調和を乱す存在とし、無理数の存在をアルヘトス(語られざるもの)と呼び否定していた。無理数の存在を否定するがあまり、無理数を口外した弟子ヒッパソスを溺死させたとの逸話も残っている。

三角形の内角の和が180度

任意の三角形の内角の和が2直角であることを証明したのはピタゴラスといわれている。

正五角形の作図

正五角形の性質を詳しく調べ、黄金比を元に正五角形の作図法を発見。

正多角形による平面の敷き詰め

合同な正多角形のタイルを用いて平面をすき間なく敷き詰めるには、どのような正多角形を使えばよいかを研究。

正多面体の研究

正多面体の研究を行い、正多面体は5つに限ることを発見。

三角数と四角数の研究

1+2+3+...+10=55のように、三角数は連続した自然数の和で表されるものを指し、四角数は平方数とされ奇数の和で表される(例:1+3+5+7+9=25=5x5。また、四角数と別の四角数を合わせて更に別の四角数となる3つの数をピタゴラス数と呼んだ(例:9+16=25)。

黄金詩篇

ピタゴラスの信条を詩の形で成文化した『黄金詩篇』と呼ばれるものがある。

まず不滅の神に対して汝の勤めを果たすべし
親御と近親者を敬い
徳において第一の者を友となし
彼の話に注意深く耳を傾けるべし
ささいな欠点で友を力に任せて捨てるな

怒り、怠惰、贅沢は避けよ
邪悪なものを慎め
しかし己を最も恐れるべし

肝に命じよ、人は皆死ぬべく定められている
富はそれを得た時と同じように速やかに失われる

苦しみは、神のおぼし召しによってもたらされるので、喜んで受けよ
だが、一切の気苦労を除くように努め
正しい者がいつも最高の利益を得るとは限らないことを思え

人の甘い言葉に惑わされるな
荒々しい脅迫に恐れをなして正しい覚悟を捨てるな
もし何かをしようとするなら、まずよく考えよ
後で悔やむようなことはしてはならぬ
まず自分に向いている事を学ぶようにせよ

運動と食事に節制を心掛け
平静な落ち着きの中に己を保つべし
虚栄心がもたらす浪費を戒め
浅ましくなってもいけない
何事も中庸が最善である

自省の日記を3回繰り返すまでは
夜、目を閉じて休んではならない
どんな過ちを犯したか、何をしたか、何をしていないか
このように初めから終わりまで総括を行い
悪行のためには悲しみ、善行を喜べ

恐れることはない、人はもともと天上の種族である
神聖な自然により何を抱擁すべきかを教えられ
それを追求すれば、魂を肉体の汚れから守ることになる

控えよ、理性を用いて心のたづなを引け
そうすれば天上へと昇り、肉体からは自由になる
そなたは死を免れた聖人であり、もはや滅びることはない

ピタゴラスの最期

ディオゲネス・ラエルティオスは『ギリシア哲学者列伝』の中で、ピタゴラスの最期とされる4つの説を紹介している。

ピタゴラスの残した名言

その他

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Copyright (C) 2007 七鍵 key@do.ai 初版:2007年10月05日 最終更新:2007年10月14日