コリジョンドメイン【Collision Domain】

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コリジョンとは

最終更新
2005-02-01T00:00:00+09:00
この記事のURI参照
https://www.7key.jp/nw/lan/ethernet/cd.html#collision

コリジョンドメインの話をする前に、まずコリジョンというものについて話をします。10BASE-Tや100BASE-TXで使われるUTP【Umshielded Twist Pair】ケーブルは、プラスとマイナス線を対にした2組の導線が使われています。このため、データの送信と受信が同時に発生したとしても、送信と受信の信号が別の導線を通るためUTP上で信号同士が衝突することはありません。

ただし、リピータHUBをネットワーク上に配置すると話は別です。リピータHUBは、信号を中継するときに、出力側のポートに信号が流れていても(他の機器が送信動作を行っていても)、かまわず信号を送ってしまうのです。この場合に起こった信号の衝突のことをコリジョンと呼びます。

リピータHUBでは、ある端末から信号を中継している際に他の端末から信号が入ってきた場合、いったんその信号は破棄し、ジャムと呼ばれる信号を全てのポートから送り出します。ジャムを受け取った送信側の端末では、一旦送信をキャンセルし、乱数から算出する一定時間待機してから信号を送りなおすので、コリジョンが発生しても信号が相手に届かないという不具合はないのです。

Ethernet経由の通信では、多かれ少なかれコリジョンは発生しますが、Ethrnetでは、コリジョン発生を前提として仕様が作られているため、一般にコリジョンはエラーとは見なされません。ただし、コリジョンが多発すると伝送効率が著しく低下しますので、コリジョンが多発しているネットワークではスイッチングハブ等によってネットワーク上のデータを制御すると伝送速度が向上します。

CSMA/CD【Carrier Sense Multiple Access / Collision Detection】

最終更新
2005-02-01T00:00:00+09:00
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https://www.7key.jp/nw/lan/ethernet/cd.html#csmacd

以前に普及していましたEthernetの方式では、同軸ケーブルと呼ばれる1本の導線だけのケーブルを使用していました。同軸ケーブルを使用すると、複数の端末が同時に信号を送信した場合にケーブル上で衝突を起こしてしまいます。そこで、EthernetではCSMA/CDと呼ばれる方式が使われています。同軸ケーブルを使わない場合でも、リピータHUBを使う場合はCSMA/CDが使われます。

CSMAは日本語に直すと搬送波感知多重アクセスとなります。まず、フレームを送信する場合、他のホストがデータを送信していないかどうかを確認します。これが搬送波(キャリア)感知(CS)です。また、いずれかのホストの送信が終わった場合、次に送信を開始するホストに決まりがない、これが多重アクセス(MA)です。言い換えれば、まずキャリアが無いことを送信ホストは確認し、無ければ一定時間待機した後にフレームを送信します。このこと(MA)により、ある一定のホストが帯域を占有してしまうことを防いでいるのです。

次に、CDは日本語に直すと衝突検出となります。いくらCSMAで信号が流れていないことを確認しても、同時に複数の端末が信号を送信してしまいますと、コリジョンを避けることはできません。そこで、コリジョンに気がついた端末が衝突の発生を知らせるためのジャム信号を送信します。そして、ランダムに決められる時間待機した後、もう一度フレームの送信からやり直します。この行為のことをバックオフ、待機時間のことをバックオフ時間と呼びます。バックオフは15回繰り返され、16回目にフレームは破棄されます。これらの機能をCDと呼びます。

以下にCSMA/CD方式のフレームの構成と機能を参考のために載せておきます。

CSMA/CD方式のMACフレーム【IEEE802.3規格】(括弧内の数値はオクテット数)
プリアンブル
(7)
FSD
(1)
あて先アドレス
(6)
送信元アドレス
(6)
長さ/タイプ
(2)
情報(データ)
(0〜n)
FCS
(4)
各フィールドの説明
プリアンブル CSMA/CD方式における同期信号のこと。同期を取るために、「10」のビット列を持つプリアンブル信号を7個連続して伝送します。
FSD フレーム開始デリミタ。フレームの先頭を「10101011」のビット列の識別符号で表します。 受信側は識別符号以降が有効フレームであることを認知します。
あて先アドレス 一般的にMACヘッダ(長さも含めた14バイト)と呼ばれるもの。 データパケットを送信するSA【Source Address】とそれを受信するDA【Destination Address】があります。 CSMA/CD方式自体はコネクションレス型の通信なので、SAとDAが必ず必要となります。
送信元アドレス
長さ/タイプ 情報部のLLCデータの長さをオクテットで表現します。
情報 LLCデータを格納するユーザ情報フィールドです。 1フレームで送ることができる最大データ量が1,500バイトに制限されているため、これ以上のデータを送信するときは、 送信端末側で複数のフレームを連続して送信します。 ただし、1つのフレームの送信が終わった後、少し時間をおいてから次のフレームの送信動作を始める必要があります。 この時間をIFG【フレーム間ギャップ】といいます。
FCS フレームチェックシーケンス。あて先アドレス、送信アドレス、長さ、情報フィールドを対象に、 ビット誤りを検出するためのCRCチェックを行います。 この場合のCRCチェックは、32次の生成多項式を使います。

コリジョンドメインとは?

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2005-02-01T00:00:00+09:00
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https://www.7key.jp/nw/lan/ethernet/cd.html#cd

随分話をひっぱりましたが、これでやっとコリジョンドメインの話ができます。上記の復習もかねつつ説明します。Ethernetなどで使用されるCSMA/CD方式のネットワークでは、送信パケットを送出中のノードは、別のノードからのパケット送出が行なわれないかどうかを常に監視しています。万一パケットの衝突(コリジョン)が発生したときには、パケットの送出を中止して、送信途中のデータを取り消すための信号(ジャム)を発信するということでした。つまりCSMA/CD方式のネットワークでは、信号の伝送遅延によっても、このコリジョンの検出を正しく行なえなければならないという制約を持っているのです。このようにコリジョン検出のための時間的な制約を持つセグメントをコリジョンドメインと呼びます。データの転送速度が向上すると、信号のタイミングはそれだけ厳しくなります。当然、コリジョンドメインの制約も厳しくなりますので、接続ケーブルの長さやリピータの利用に制限がかけられてくるのです。通常このような場合には、スイッチングハブルータを導入することによって、 コリジョンドメインを分離するようにしています(スイッチングハブやルータでは、パケットをいったんメモリに読み込んでから送出するので、コリジョンドメインはこれらをまたぎません)。

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Copyright (C) 2003-2005 七鍵 key@do.ai 初版:2003年01月18日 最終更新:2005年02月01日