兵法三十六計

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兵法三十六計とは

最終更新
2008-04-19T20:44:18+09:00
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兵法三十六計とは、支那の地で五世紀頃から民衆の間で語り継がれてきたと言われる計略の教え。兵法における三十六通りの戦術をまとめたもの。支那では兵法書として世界的に有名な『孫子』よりも民間において流通し、日常生活でも幅広く流用されている。魏晋南北朝時代の宋の将軍檀道済は「三十六計逃げるに如かず」との故事でよく知られているが、檀道済の三十六計と『兵法三十六計』は直接の関りはない。檀道済の三十六計がどのようなものであったかは不明。

三十六計

最終更新
2008-04-19T22:42:12+09:00
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瞞天過海(まんてんかかい)

天を瞞いて海を過る(てんをあざむいてうみをわたる)。兵法三十六系の第一計。「天」とは皇帝のことで、皇帝のように正面から向っても敵わない相手を騙し、その隙に海を渡る、即ち目的を達することをさす。家に見せかけた船に皇帝を招待し、海を渡らせてしまったとの故事が元になったとする説もある。

囲魏救趙(いぎきゅうちょう)

魏を囲んで趙を救う(ぎをかこんでちょうをすくう)。兵法三十六系の第二計。守備の手薄な魏の都を囲むことによって、魏軍に攻撃されている趙を救うとの意味。問題に真正面から取り組もうとするより、比較的楽に解決できる周辺の問題から片づけて行く方が得策な場合もあることを表している。

借刀殺人(しょくとうさつじん)

刀を借りて人を殺す(かたなをかりてひとをころす)。兵法三十六系の第三計。この計略には二通りの解釈がある。一つ目は、他人の手を借りて敵を切るとの解釈、二つ目は、自分に注意が向かないようにして間接的に他人にダメージを与えるとの解釈。どちらにせよ、仕掛けた本人がやったことだとは気付かれないような計略を指す。

以逸待労(いいつたいろう)

逸を以て労を待つ(いつをもってろうをまつ)。兵法三十六系の第四計。機が満るまでじっと耐える計略。一歩リードして優位に立ち、消耗した相手に思い通りの戦いをしたり、敵に攻めさせておいてその上手を取ることを狙う計略。待つことによってチャンスを逃す虞もあるため、注意が必要。

趁火打劫(ちんかだごう)

火に趁んで劫を打く(ひにつけこんでおしこみをはたらく)。兵法三十六系の第五計。苦境や困難、危機を利用する計略。日本にも「災い転じて福と成せ」「失敗は成功の元」との同じ意味の諺がある。

声東撃西(せいとうげきせい)

東に声して西を撃つ(ひがしにこえしてにしをうつ)。兵法三十六系の第六計。ある場所を攻撃すると企てつつ、別の場所を攻撃するとの意味。東西は異なる方向や相対する方向、「撃」は何らかの行動を指す。相手の注意を「声」で逸らし、気付かれずに侵攻することを表す。

無中生有(むちゅうしょうゆう)

無の中に有を生ず(むのなかにゆうをしょうず)。兵法三十六系の第七計。相手に錯覚を起こさせ、偽物やまがい物を掴ませることによって利益を得るとの「針小棒大」の意味で使われることが多い。ただし、馬鹿げたアイデアが金塊に化けるような創作の計としても用いられる。

暗渡陳倉(あんとちんそう)

暗かに陳倉に渡る(ひそかにちんそうにわたる)。兵法三十六系の第八計。焼かれた桟道を修復するように見せかけ、修復が終る前に密かに陳倉に進軍して敵を襲撃することを表す。進軍方向を偽る計略や、公には全く無害で正常に見える行為の背後にある悪意を隠す計略として用いられる。

隔岸観火(かくがんかんか)

岸を隔てて火を観る(きしをへだててひをみる)。兵法三十六系の第九計。逃げと機に乗ずる複合計略。字軍が劣勢の場合は特に、敵が陥っている危機に干渉すべきではない。それは自分が巻き添えを食らうのを防ぎ、後に事態が好転した際に漁夫の利を得るためである。

笑裏蔵刀(しょうりぞうとう)

笑いの裏に刀を蔵す(わらいのうらにかたなをかくす)。兵法三十六系の第十計。「笑」とは、誠実さを装うことや同情するふりなどを表し、これによって相手の本心や同情を引き出して自分の利につなげることを表す。悪巧みを隠して友好的に振舞う計略である。

李代桃僵(りだいとうきょう)

李、桃に代って僵る(すもも、ももにかわってたおる)。兵法三十六系の第十一計。自分や自分以外の誰かが難を逃れるために、他の誰かに責任を擦り付ける計略。重要人物を救うために周辺の人物を見捨てることもこれに当る。また、責任を転嫁する対象は人とは限らず、物や事でも良い。

順手牽羊(じゅんしゅけんよう)

手に順いて羊を牽く(てにしたがいてひつじをひく)。兵法三十六系の第十二計。不意に前を横切る羊をとっさの判断で自分のものとすることを表し、「羊」とは本来の目標とは無関係な思いがけない幸運を表している。チャンスに目を光らせ、自分の利益になると思えばどんなわずかなチャンスも利用する機転と心構えが必要なことを教えている。

打草驚蛇(だそうきょうだ)

草を打って蛇を驚かす(くさをうってへびをおどろかす)。兵法三十六系の第十三計。蛇を直接叩くのではなく、草を叩くことで捕えて殺す意思を蛇に伝えている、つまり人やものを見せしめにする計略である。また、相手に自分が望む行動をさせるために、わざと尋常ではない信号を送ることもこの計略の一つ。

借屍還魂(しゃくしかんこん)

屍を借りて魂を還す(しかばねをかりてたましいをかえす)。兵法三十六系の第十四計。使い古されたものに新たな命を吹き込む計略。「屍」とは役に立ちそうもないものを指し、役に立たないように見えるものでも実は役に立つかも知れないと知恵を働かせることを忘れてはならない。

調虎離山(ちょうこりざん)

虎を調って山を離れしむ(とらをあしらってやまをはなれしむ)。兵法三十六系の第十五計。「虎」とはここでは、正攻法で戦うには危険すぎる強力な敵対者を指す。戦う相手をその本拠地や支援者から遠ざけ、倒し易くする計略。

欲擒姑縦(よくきんこしょう)

擒えんと欲すれば姑く縦て(とらえんとほっすればしばらくはなて)。兵法三十六系の第十六計。敵を完全に包囲して全方位から圧力をかけた状態では、敵は死力を尽くして猛反撃をしてくる虞がある。そのようなときに逃げ道を与えると、敵は警戒心を解き対話に応じてくる場合がある。「縦つ」ことはそれ自体が最終目標なのではなく、敵を「擒えん」とする長期目標に近づくための手段とされる。

抛磚引玉(ほうせんいんぎょく)

磚を抛げて玉を引く(れんがをなげてぎょくをひく)。兵法三十六系の第十七計。「磚」は重要でないものの象徴で、「玉」は価値の高いものをあらわす。小さな贈り物をして大きな見返りを得ようとしたり、ささやかな恩を売って大きな利益を上げる計略。

擒賊擒王(きんぞくきんおう)

賊を擒えんには王を擒えよ(ぞくをとらえんにはおうをとらえよ)。兵法三十六系の第十八計。敵のキーパーソンを見極め、その人物を無力化し、導き手を奪われた敵全体を無力化させる計略。またはその人物を味方に引き込んで、敵全体を取り込む計略とも解釈される。

釜底抽薪(ふていちゅうしん)

釜の底より薪を抽く(かまのそこよりまきをぬく)。兵法三十六系の第十九計。薪を取り除けば風呂の湯がたちまち冷めてしまうことを指し、問題の根本を解決することをあらわす。正面衝突を避け、代わりに敵の戦力を物質的あるいは精神的に削ぐ計略。

混水摸魚(こんすいぼぎょ)

水を混ぜて魚を摸る(みずをかきまぜてさかなをさぐる)。兵法三十六系の第二十計。かき乱す計略、または不明瞭さや無秩序、混乱を利用する計略。世の中を不明瞭なものと見做し、仮に不明瞭ではなくとも人為的に混乱を作り、それに乗じれば必ず利益を得られると教えている。

金蝉脱穀(きんせんだっかく)

金蝉、穀を脱ぐ(きんせんからをぬぐ)。兵法三十六系の第二十一計。蝉は幼虫から成虫に変わる際、日の光で金色に輝く殻を脱ぎ捨て、そこに残された金色の殻に天敵が目を奪われている隙に逃げ去る。一般的にこの計略は危険から逃れるときに用いるが、外見を変えるとの発想を特に強調する場合もある。

関門捉賊(かんもんそくぞく)

門を関ざして賊を捉う(もんをとざしてぞくをとらう)。兵法三十六系の第二十二計。負けた相手が自ら進んで受け入れたか追い込まれてしまった孤立的立場を利用し、逃げられなくする計略。

遠交近攻(えんこうきんこう)

遠く交り近く攻む(とおくまじわりちかくせむ)。兵法三十六系の第二十三計。遠くにいる戦略上のライバルと戦術的同盟を組むことによって、近くの戦略上の敵を孤立させて先ず最初に排除し、続いて遠くのライバルを排除するとの計略。近いか遠いかは地理的尺度に限らない。戦略上の敵が複数存在する場合に用いられる。

仮道伐虢(かどうばっかく)

道を仮りて虢を伐つ(みちをかりてかくをうつ)。兵法三十六系の第二十四計。一方の標的の助けを借りて二つの目的を達成する計略。このとき、相手にとって害のない最初の目的だけを打ち明け、致命的となるもう一方の目的は隠すこととなる。虢を征服した後で虞を占領するために、虞に道を仮りて虞の隣国である虢を伐つとの意味。

偸梁換柱(とうりょうかんちゅう)

梁を偸み柱に換う(りょうをぬすみはしらにかう)。兵法三十六系の第二十五計。外観には手を加えず、屋内の梁を盗んで柱を換えることを表す。対象物の中身を密かに、たいていは悪い方に換えるのがこの計略である。

指桑罵槐(しそうばかい)

桑を指して槐を罵る(くわをゆびさしてえんじゅをののしる)。兵法三十六系の第二十六計。周囲に解るように「桑」を罵るが、実際にはより高貴で批判し難い隣の「槐」を当てこすることを表す。「槐」に向けた間接的な批判を「槐」の周りにいる人々にだけ気付かせるのが目的の場合もあれば、「槐」自身に気付かせて肝に銘じさせるのが目的の場合もある。

仮痴不癲(かちふてん)

痴を仮るも癲せず(ちをいつわるもてんせず)。兵法三十六系の第二十七計。「仮痴」とは精神的、肉体的な欠陥のことを指し、自分に何らかの弱みがあるように他人に信じ込ませることを表す。無知・愚鈍・小者のふりをする計略としても用いられる。

上屋抽梯(じょうおくちゅうてい)

屋に上げて梯を抽す(おくにあげてはしごをはずす)。兵法三十六系の第二十八計。他人をわざと誘い込み、引き返せなくするか実権を奪う計略。

樹上開花(じゅじょうかいか)

樹上に花を開す(じゅじょうにはなをさかす)。兵法三十六系の第二十九計。「樹」は惨めな現実を表し、「花」は惨めな事実を粉飾するために利用できる絶好の資源を表す。この計略の目的は、酷い状況をただ包み隠すことではなく、ありもしない武力は権力を見せたり、脅威であるような印象を与えたりすることにある。花の咲かない樹に人工の花を咲かしたとの故事に基く。

反客為主(はんかくいしゅ)

客を反して主と為す(きゃくをはんしてしゅとなす)。兵法三十六系の第三十計。主人は客人に座るべき席を示し、馳走を振舞い、最後に帰ってよいタイミングを教える。つまり人間同士の付き合いでは、客は受身で下位の存在、主は能動的で上位の存在となる。この計略は逆の立場を得ること、つまり客が主となり、主を客に格下げすることが狙いである。

美人計(びじんけい)

美人の計(びじんのけい)。兵法三十六系の第三十一計。女性を利用して目的を達成する計略。性的な誘惑に限らず、広告宣伝のために女性を採用することなど、応用範囲は広い。

空城計(くうじょうけい)

空城の計(くうじょうのけい)。兵法三十六系の第三十二計。守備が手薄な城の門を開いて猜疑心を抱かせる計略。諸葛亮が用いた計略――兵力が手薄で城内に守備兵がいないにも関らず城門を開け放ち、更には城壁に上って敵軍に見えるように琴を弾いた。敵軍は伏兵がいると睨んで撤退をした――でもあり、支那では最もよく知られたメジャーな計略。

反間計(はんかんけい)

反間の計(くうじょうのけい)。兵法三十六系の第三十三計。スパイの計略、不知の種をまく計略。グループの中に諜報員を送り込み、グループ内をかく乱させることを目的とする。

苦肉計(くにくけい)

苦肉の計(くにくのけい)。兵法三十六系の第三十四計。自分を傷つけて敵を信用させる計略。同情を買うことを見越した上で、被害者の役を演じたり、自分を卑下し、弱め、害することなどによって信頼感などを相手に起こさせたりすることを表す。

連環計(れんかんけい)

連環の計(れんかんのけい)。兵法三十六系の第三十五計。物事を結びつける計略と解釈される場合もあれば、様々な計略をあわせて連結させた計略と解釈される場合もある。

走為上(そういじょう)

走ぐるを上と為す(にぐるをじょうとなす)。兵法三十六系の第三十六計。勝ちに固執すると八方塞がりに陥る虞があり、自分が追い込まれたことに気付いたら、力を無駄に消耗するより手遅れになる前に退却すべきである。小さな争いでの戦術の成功よりも、全体的な戦略的成功を目指すべきである。しかし、攻めるべきか退却すべきかは慎重に秤にかけ、また引き際を正確に見極めることが重要である。また、この計略を危機的状況で使うには、事前に非難口と避難場所を確保しておくことが必要となる。

参考文献

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Copyright (C) 2008 七鍵 key@do.ai 初版:2008年04月19日 最終更新:2008年04月19日