金剛力士

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金剛力士とは

最終更新
2007-08-26T00:00:00+09:00
この記事のURI参照
https://www.7key.jp/data/thought/hotoke/niou.html#what

金剛力士は「こんごうりきしと読み、仏教の守護神である天部に属する。サンスクリットでは「ヴァジュラパーニ【Vajradhara】」で、金剛杵を持つものとの意味のため、執金剛神(持金剛神)と訳される。開口の阿形(あぎょう)像と、口を結んだ吽形(うんぎょう)像の2体を一対として、寺院の表門などに安置することが多い。一般には仁王の名で親しまれている。『増一阿含経』などの経典には、執金剛神が釈迦如来の傍らにいつもいてその警護にあたっていたことが説かれている。その様子はインドの壁画に描かれていたが、中国などでは執金剛神に寺域や伽藍の護衛役を担わせるようになった。山門や寺門の護衛役を務める際には左右に配した方が都合がよいとされ、やがて二体一対であらわされるようになった。甲冑を着けた神将形のものも見られるが、腰に裳をまいただけの半裸の姿で筋骨隆々とした体躯を見せている場合が多いため、金剛力士や「仁王」と呼ばれるようになったとみられている。一般的に、独尊であらわされている場合は執金剛神と呼び、二尊であらわされている場合を金剛力士や仁王と呼ぶ。千手観音の眷属である二十八部衆の中にも仁王像があるが、この場合、阿形像は「那羅延堅固王(ならえんけんごおう)」、吽形像は「密迹金剛力士(みっしゃくこんごうりきし)」と呼ばれる。

像容は上半身裸形で、筋骨隆々とし、阿形像は怒りの表情を顕わにし、吽形像は怒りを内に秘めた表情に表わすものが多い。こうした造形は、寺院内に仏敵が入り込むことを防ぐ守護神としての性格を表わしている。日本語の五十音と同じく、サンスクリットも「あ」で始まり「ん」で終る。そこから密教では、「阿」は全てを生じさせる理念の本体で、「吽」はそれらが帰着するところの叡智を意味するとされ、特に重んじられている。そこから阿形と吽形を配置することで、全ての始まりと終りを象徴しているとされる。一般的には向かって右側に阿形、左側に吽形を配するが、東大寺南大門の像では逆になっている。

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Copyright (C) 2007 七鍵 key@do.ai 初版:2007年08月26日 最終更新:2007年08月26日